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【庭師】植熊 親方 小河正行 「植木屋は何年たっても勉強や」…先代の一言が今の私の支えです。

『植木屋への道のり』

私は中学三年の頃、父が営んでいた製材所をもう一度復活したいと思い、高校は林業高校に進み、卒業後京都の製材所に就職しました。同時に建築学校にも通い一時は大工を目指したのですが、当時は図面を書くのが苦手で少し嫌になっていました。でも何とか卒業して、大工になろうと思っていたのですが、両親の縁で、福岡のお寺に行くことになり、そのお寺での生活の中で植木の剪定に興味を持ちました。

植熊 鋏

そんな時この庭を造った人が、京都にいるから行きなさいと言われ、1年近くお世話になったお寺を出る朝に「腕の一本切るつもりで行きなさい、そして日本一にならないとね」と送り出して頂きました。そして植熊の門をくぐりました。

茶庭植熊庭

『茶庭の話』

茶庭は露地ともいい、茶室の庭園の通称です。

露地と普通の庭の大きな違いは露地には「四季がない」と言う事です。何時行っても同じ景色でないといけません。

露地はお茶室の庭ですから、ご亭主が四季折々の趣向をこらしてお客様をお迎えされる邪魔をしないように考えられて造られるのです。またお茶室ではお香を焚きますので、香りの強い樹木もいけません。名木・名石もなく目立たなくて何のわだかまりもなく歩いていけるのが一番なのです。

飛び石は別名「教の石」とも呼ばれ「踏み誤らざれば行くべきところに必ず達する」と言うお客様を案内すると言う重要な役目を担っています。

茶庭設計図

お客様が躙口からお茶席に入る最後に行う所作が、蹲踞を使って心身を清める動作ですが、この蹲踞には一番気を使います。役石を探すのも難しいですし、役石の置き方も流派によって逆になります。躙口からの距離も難しいです。

露地は広いところは狭く、短いところは長く見える工夫をします。広々とした空間を通るのではなく、母胎の産道のような狭いところを通っていく感じがよいのではないかと思います。

『一番大切なこと』

色々な所で色々な露地を作ってきましたが、日々心に思うのはある日わたしがまだ若い頃、私が造った庭の写真を先代に見せた時「わしは六十年庭を造ってきたんや。二年や三年でできるもんやない。植木屋は何年経っても勉強や。」と言う言葉です。この言葉がいつも私の支えになっています。先代、先々代が残してくれた庭を護り、それを後世に伝えることが私の役目だと思っています。

植熊 小河さん

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