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『建築板金の話』
いわゆるブリキ屋・樋屋・トタン屋などと言われる職業が一級技能士や指導員制度ができてから建築板金と言われるようになりました。
その中でも私どもの仕事はお茶室の銅屋根葺きや樋を作る事です。
銅板を一枚ずつ鋏で切りだし、屋根や樋などそれぞれの形に応じて手作業で作り込んでいきます。
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『銅葺き屋根の話』
建築板金の銅屋根の場合、大工さんが作られた屋根の下地の上にそのまま銅板を張ります。私どもが得意とするお茶室特有の「むっくり」(起り)した屋根は地方によくある棒屋根(一直線の屋根)と違い京都の腕の良い大工さんのおかげでできあがります。
まず作業場で銅板を一枚ずつ裁断します。そして端を折り曲げ「はぜ」と言う重ね合わせる部分を作ります。はぜとはぜを重ね合わせ拍子木でたたいて継ぎ合わせた状態で現場に持っていきます。
また、軒先の角の部分は「出隅」と呼ばれ、その独特のアールが貝に似ているため「ハマグリ」と呼ばれています。このハマグリはきっちり合わせていくのが大変むずかしく、特に京都の大工さんが作る「むくり」の屋根では棟と真ん中と軒先の勾配が違いますから、その微妙な開きに合わせてハマグリも一枚ずつアールを変えていきます。この微妙な作業が数寄屋建築・お茶室の、あの美しく優雅な「むくり屋根」となります。
地方ではこういった叩きだしができず、また京都でもこの「ハマグリ」を手作業で行っているのは数少ないと思います。
『仕事の裏話』
銅にはイオン効果があり、このイオンが溶け出して木材の腐食菌に対して殺菌作用をもたらせます。柱の根本や大切な部分をこの銅板で保護しますと木材がより長持ちし、建築物を守る事になります。私が作った銅の花瓶があるのですが、これに花を生けますとイオンの作用により花が長持ちします。 |
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『匠のみなさんとの協力が一番大切』
私どもがてがけたお茶室は全国で60棟あるのですが、良い建築板金の仕事を仕上げるには良い大工さんの下地が必要です。
自分が一番ではなく私どもの周りにおられる匠のみなさんとの協力が一番大切な財産です。協力しあう事があってこそ、京都の匠の素晴らしい建築物は仕上がります。
また今はだんだんこの作業工程を伝えていくことが難しくなってきていますが、京都の匠の技として後継していきたいと切望しています。
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