『京都の建具』
都で発達した茶の湯の文化にかかせない数寄屋建築。
その数寄屋建築の、戸板・障子・襖。また神社仏閣など書院づくりの、遣戸(やりど)また舞良戸(まいらど)などの板戸や明障子(あかりしょうじ)。
京建具と呼ばれる京都の職人が造る建具は、全国でも高い評価をえている。
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その中でも、茶の湯の文化の中で育った数寄屋建築の茶室の様々な建具は、その存在が出しゃばることもなく、極めて普通の佇まいをみせている。亭主が趣向をこらしてお客様をお迎えする茶室では建具は目立たず普通の存在でなければならない。装飾が目立ってしまえば、亭主のしつらえた道具や趣向の邪魔になってしまうからである。 |
しかし、数寄屋建築では「繊細」なおかつ「精密」な建具でなければ、その雅な様相を現すことはできない。
京都の建具師は木を知り、その特性を生かし、手間暇かけて繊細で精密な建具を制作する。数寄屋建築の建具にはより正確な寸法も求められる。
『建具の製作』
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建築の世界にも機械化が進み、手作業が等閑になっている今日ではあるが、建具の製作では逆に機械化のおかげで更に精密な細工が施せるようになっている。大まかな基本の作業は機械で行い、その分、細かい作業はじっくり手作業で行える。
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数寄屋建築の建具師の道具である鉋や鑿は、数寄屋大工の道具に負けないくらい種類が多く、その技術も熟練された建具師によるものでなければならない。
建具の建材は、後日歪みが生じないようにしっかりと乾燥した木材を、框・上桟・下桟に木取りし、墨付けを行う。桟の左右にほぞ加工をする。縦横の組子を木取りして、組子を組み、框、上桟、下桟の面取りなどをして建具を組む。
この行程の中で、各部分によって、鉋・鑿で細部の細工を施し、雅な線を造り出す。
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普通に見える数寄屋建築の建具は、実は繊細で精密に手間暇かけて造るわけだが、この行程には鉋や鑿を使いこなせる熟練の建具師の技と、数寄屋大工との連携が重要である。 京都の建具師ならではの雅な線を継承し続けることが西村建具製作所の願いである。 |
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