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【左官】内藤左官工業 内藤善蔵 天候を見極め、土と藁と水そして技の融合。

『左官の仕事』


左官の仕事は、土の壁を造ること。

特に数寄屋のお茶室の壁などは、行程も仕上げも左官の腕の見せ所で、大工が造った建築物の壁の下地である竹小舞に、荒壁を付け、中塗りをし、上塗りで仕上げる

また、お茶室の場合、その構造から壁のしめる面積は広く、壁の仕上げには高度な技術が求められる。

下塗り

京壁京壁京壁

お茶室の壁は「真・行・草」で言えば「草」の壁で、この草の壁を仕上げるのには左官としての熟練した技術が必要で、さらに茶の湯の精神にも精通していなければならない。

この時、建築物に関わるすべての職人の作業との連携が重要で、壁の部分だけの作業の技術だけでは雅な建築物は仕上がらない。

数寄屋建築のお茶室

『土と藁と水』

和風建築の土壁を造る行程には素材のの選別が重要になる。まず荒壁を塗るには土と藁の配合が重要で、藁の種類や細さ、長さなど経験により配合に工夫が必要である。中塗りの場合も同じで、土の配合、水の配合などにも工夫がいる。ほどよく下塗りが乾燥する時期を見極めるのも重要である。

下塗りの段階で、きちっと仕上げられていないと、いくら上塗りで体裁を整えても美しい壁にはならない。

土と藁土を練る 土を漉す
鏝鏝 京壁

 

上塗りの段階では、土の種類を多く準備して、土を石臼などで細かに碾き、主になる土と配合していき、個々の建築物にあった土を造り出す。そして水と配合し、鏝(こて)で仕上げるのだが、この時も天候を見極めなければならない。作業中に土の状態が変化してしまわないように、湿気が多すぎてもいけないし、高温で乾燥し過ぎてもいけない。

お茶室の壁は京都の聚楽第(じゅらくだい)のあたりで採れた土を原料としていた「聚楽壁(京壁)」が好まれるが、特に趣向を施した「引き摺り仕上げ」が素晴らしく、この引き摺り仕上げには熟練の左官の腕が必要になる。

 

石臼土の配合土


『引き摺り仕上げ』

一般的に壁は凹凸なく仕上がっているのが美しいと思われがちだが、この「引き摺り仕上げ」は壁の表面に美しい鏝後を残すを技法で、日本固有の美意識の代表である「わび・さび(侘・寂)」を好むお茶人には大変好まれ、数寄屋建築には欠かせない技法の一つである。

この「引き摺り仕上げ」は、ただ鏝で跡を付けるだけでなく、壁全体がお茶室の灯りの中で雅やかに浮き上がるように仕上げなければいけない。この技術を持つ左官も今では数少ない。

引き摺り仕上げ引き摺り仕上げこて


『蛍の飛ぶ壁』

壁の土を配合する時に工夫をすると、年数を経過した壁面に斑点が浮かびあがってくる。これはほんのり薄明かりの灯り取りのあるお茶室だと、蛍が飛んでいるようにも見える。
また、上塗り仕上げの時に、少々いたずら心で下地に絵や文字を入れておくと、仕上がってすぐには見えないのだが、何年か経過するとその絵や文字が浮かび上がってくる。

左官の土の配合や手加減で、数寄者好みの粋な壁が出来上がる。京都独特の「わび・さび(侘・寂)」「草(そう)の壁」。この遊び心を大切し、大工やその建築物に関わるすべての職人の技と心を知り、その上で壁に取り組む。天候を見極め、土と藁と水そして技の融合がなければ、京の都での左官は勤まらないと思う。

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